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放課後のプールは静かだった。
授業も終わって、誰もいない水面が穏やかに揺れている。湿気のある空気と、かすかな塩素の匂い。そんな中で、彼女はひとり、プールサイドに立っていた。
「……やっぱり、ちょっと透けてる、よね」
白いワンピース型の水着。体にぴったり張りついたその布地の下、うっすらと浮かぶのは柔らかな曲線。フリルの隙間から覗く肌に、陽の光がまだらに落ちている。
彼女は水を払うように、胸元を軽く押さえた。
それだけのしぐさなのに、なぜか視線を外せなくなる。胸のふくらみが、濡れた布越しにそっと揺れて――その輪郭がやけにリアルに、想像を誘う。
「……そんなに真剣に見る?」
気づいたら、彼女はこっちを見ていた。
冗談みたいな口調。でも、その声には、ほんの少しの期待が混ざっていた。拒否ではない。からかいでもない。たぶん、照れ隠し。
「変なの……」
彼女はそうつぶやいて、プールサイドにぺたんと腰を下ろした。水際に足を伸ばして、手で軽く水をすくう。しずくが太ももをつたって、白い布の奥へ消えていく。
彼女の顔がこっちを向いた。
「……ね、さっきからさ。なんでそんなに黙ってるの?」
声は小さくて、でも真っ直ぐで。
言葉が喉につかえて、うまく返せない。こんな姿を見せられて、まともな返事ができる方がおかしい。
「ねえ、見てるならさ、ちゃんと――」
そのとき、遠くで物音がした。
「誰か来た?」
彼女が首をすくめるようにして笑う。
「ちょっと、着替えてくるね。……続きは、また今度」
それだけ言い残して、更衣室の方へ小走りに消えていった。
水音だけが、取り残された。
*
思い返せば、あのときからだ。
彼女が急に距離を詰めてきたのは。
翌日、体育倉庫の前。僕が道具の片付けをしていると、彼女がジーンズ姿で現れた。
「ねえ、昨日のこと、まだドキドキしてる?」
ジーンズのラインはタイトで、カーディガンの下から覗くシャツが、体の曲線をそのまま映し出していた。
「……ん? やっぱり顔、赤い」
彼女は笑って、近づいてきた。
「そういうの、好きなんだね。透けたり、ピッタリだったり」
そんなこと、言われたくなかった。
でも、否定もできなかった。
彼女はしゃがみこんで、倉庫の奥に手を伸ばしながら、わざとヒップラインをこちらに向けた。ジーンズの生地がぴったりと肌に張りついて、太ももとお尻の境界がくっきりと浮かび上がる。
「……苦しそうじゃない?」
ふいにそう言って、彼女がこっちを見る。
目はいたずらっぽくて、でも、優しかった。
笑うでも、責めるでもなく。ただ、静かに見つめてくる。
「だいじょうぶ。……誰にも言わないよ?」
そのひと言で、何かが決壊しそうになるのを感じた。
でも、彼女はすぐに立ち上がって、軽く手を振った。
「じゃ、また放課後。次は……もっとちゃんと、見せてあげる」
*
これは、そんな彼女との、ちょっとだけ特別な日々の始まり。
恥ずかしがり屋のふりをしながら、ほんとはこっちの反応を確かめるのが好きで、時々意地悪で、でも本当は――
もっと、もっと見てほしかった。
FANZA
放課後のプールは静かだった。
授業も終わって、誰もいない水面が穏やかに揺れている。湿気のある空気と、かすかな塩素の匂い。そんな中で、彼女はひとり、プールサイドに立っていた。
「……やっぱり、ちょっと透けてる、よね」
白いワンピース型の水着。体にぴったり張りついたその布地の下、うっすらと浮かぶのは柔らかな曲線。フリルの隙間から覗く肌に、陽の光がまだらに落ちている。
彼女は水を払うように、胸元を軽く押さえた。
それだけのしぐさなのに、なぜか視線を外せなくなる。胸のふくらみが、濡れた布越しにそっと揺れて――その輪郭がやけにリアルに、想像を誘う。
「……そんなに真剣に見る?」
気づいたら、彼女はこっちを見ていた。
冗談みたいな口調。でも、その声には、ほんの少しの期待が混ざっていた。拒否ではない。からかいでもない。たぶん、照れ隠し。
「変なの……」
彼女はそうつぶやいて、プールサイドにぺたんと腰を下ろした。水際に足を伸ばして、手で軽く水をすくう。しずくが太ももをつたって、白い布の奥へ消えていく。
彼女の顔がこっちを向いた。
「……ね、さっきからさ。なんでそんなに黙ってるの?」
声は小さくて、でも真っ直ぐで。
言葉が喉につかえて、うまく返せない。こんな姿を見せられて、まともな返事ができる方がおかしい。
「ねえ、見てるならさ、ちゃんと――」
そのとき、遠くで物音がした。
「誰か来た?」
彼女が首をすくめるようにして笑う。
「ちょっと、着替えてくるね。……続きは、また今度」
それだけ言い残して、更衣室の方へ小走りに消えていった。
水音だけが、取り残された。
*
思い返せば、あのときからだ。
彼女が急に距離を詰めてきたのは。
翌日、体育倉庫の前。僕が道具の片付けをしていると、彼女がジーンズ姿で現れた。
「ねえ、昨日のこと、まだドキドキしてる?」
ジーンズのラインはタイトで、カーディガンの下から覗くシャツが、体の曲線をそのまま映し出していた。
「……ん? やっぱり顔、赤い」
彼女は笑って、近づいてきた。
「そういうの、好きなんだね。透けたり、ピッタリだったり」
そんなこと、言われたくなかった。
でも、否定もできなかった。
彼女はしゃがみこんで、倉庫の奥に手を伸ばしながら、わざとヒップラインをこちらに向けた。ジーンズの生地がぴったりと肌に張りついて、太ももとお尻の境界がくっきりと浮かび上がる。
「……苦しそうじゃない?」
ふいにそう言って、彼女がこっちを見る。
目はいたずらっぽくて、でも、優しかった。
笑うでも、責めるでもなく。ただ、静かに見つめてくる。
「だいじょうぶ。……誰にも言わないよ?」
そのひと言で、何かが決壊しそうになるのを感じた。
でも、彼女はすぐに立ち上がって、軽く手を振った。
「じゃ、また放課後。次は……もっとちゃんと、見せてあげる」
*
これは、そんな彼女との、ちょっとだけ特別な日々の始まり。
恥ずかしがり屋のふりをしながら、ほんとはこっちの反応を確かめるのが好きで、時々意地悪で、でも本当は――
もっと、もっと見てほしかった。
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